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右も左もわからないまま化粧品工場(ミニ)を作った話【後編】

コラム

2022.06.28

こんにちは。今回は、先日書きました、化粧品工場を作る話の続き【後編】を書いていきたいと思います。

前回の記事はこちら:右も左もわからないまま化粧品工場(ミニ)を作った話【前編】

 

狭い空間でレイアウトを考える

つくるアイテム(剤型)をなんとか決定し、申請書に必要な図面を書くため、レイアウトを決めていきます。

 とは言っても、私のいる場所は、極々一般の狭い事務所の一画。実際に作業ができるスペースといったら、家庭の台所をちょっと広くしたぐらいです。本当にこんな場所で化粧品作れるの??と、誰しも思ってしまう狭さ。

 私は、頭の中に入っている大きな工場のレイアウトを、どうやって極限まで縮小していくかを考えました。通常、化粧品を作る工程と言えば、「調合、製造、充填、包装、検査、保管」こういったものがあります。通常の会社ですと、1つの工程をやるのにワンフロアを使用し、終わったら、他のフロアへ…という流れですが、私がやろうとしていることは、全て一箇所で完結するということ(無謀)。削る工程や、同じ場所でできる工程はないか、試行錯誤を重ねました。最終的に、作業テーブルで工程を区切り、コンベアは無いですが、短いラインが流れているようにレイアウトを組みました。

 さらに、化粧品は、中身や器具、作業場全体が菌に汚染されないよう、衛生管理がとても重要になります。できるだけ陽圧にすることや、空気清浄設備を設けることが理想となりますが、予算的に厳しいのも現実としてありました。

 困った私は、薬務課の方とも相談して、換気扇の設置と、とにかく菌を持ち込まない仕組みを作ることから始めることにしました。今ある狭い空間をさらに区切って、前室を作り、そこで手洗いや着替えを行う場所にしました。

 

 

レイアウト決定!書類作成を進める

レイアウトが決定し、改装工事のスケジュールも組みつつ、書類作成に着手し始めました。

 今回、取ろうとしている許可は、化粧品製造販売業と化粧品製造業です。これまで悩んでいたレイアウトは、化粧品製造業の部分なのですが、化粧品製造販売業では、GQP(品質管理の基準)とGVP(安全管理の基準)の手順書を作るところが一番の肝になります。

 もともと各都道府県が出している手順書の例があり、それを熟読し、どうやって体制を作っていくか、考えました。そもそも、ほぼ私一人でスタートしなければいけないのですが、今後、パートさんを雇ったり、複数で作業をしていくことを想定し、ミスが起きない仕組みを作っていきたいと思いました。

 

 

記録をデータベースで管理する

以前勤めていた化粧品メーカーでは、昔の名残で紙の記録が使われていました。不便に思っていたのでは、とにかく検索が困難なこと。私が退職する前に、少しずつ電子化されてきていましたが、昔の記録はどうしても、書類をひっくり返して探すことが普通に行われていました。

 今回、入った会社でラッキーだったことは、社長がファイルメーカーというソフトを駆使し、売り上げや顧客データ等を全てデータベースで管理していたことです。私は社長に頼み込み、ファイルメーカーの使い方を習って、原料計量から、製造、充填、品質記録等をデータベース上で作っていきました。なるべくミスが起きないよう、作業手順と製造の記録がセットで確認できるようにしたり、同じような入力は自動で入力されるようにしたり….、工夫を凝らしました。

 その流れから、GQPやGVPに関わる記録もデータベースで管理できるように仕組みで作っていきました。今はもう、そんなにエネルギーはないですが(笑)、当時は、この仕組みを作っていくことがとても楽しく、夢中でやっていたことを思い出します。

 

 

申請書類提出!薬務課による実地調査

なんとか、なんとか、書類を準備することができ、晴れて、提出をすることができました。

 そして、後日、薬務課による実地調査が行われました。当日は2名の女性担当者が来られ、正直強面のおじさま達を想像していたので、少しホッとしたのを覚えています。

 基本的には申請した内容と実態が合っているのかということと、GQP、GVPの手順書等の整備はきちんとされているか等を見られました。ビクビクしながらの実地調査でしたが、「バッチリ大丈夫」と言っていただけました。

 

 

化粧品製造販売業と化粧品製造業の許可を取得!

そして、何もわからないところからはじめ、思った以上にヘビーな仕事に幾度となく挫折しそうになりましたが、なんとか無事に化粧品製造販売業と化粧品製造業の許可を取得することができました。

 なんだか大仕事を終えたような感じですが、実際はそこからの運用がまた大変だったりします…。しかし、許可証が届いた時は、とにかくホッとして、肩の荷が降りたのを覚えています。

 

 

 

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