韓国コスメの台頭から考える今後の日本の化粧品市場
2022.01.26
韓国コスメ × 韓流ブーム
近年、韓国コスメの存在感が増していますよね。安くて、予想している以上に品質がよい韓国コスメ。スキンケアもメイクも両方人気があります。みなさんも1度は使ったことがあるのではないでしょうか?
そのきっかけは、2020年1月頃からの第4次韓流ブームと言われています。その火付け役となっているのが意外にも韓国ドラマ。「愛の不時着」や「梨泰院クラス」といった代表作が話題になりましたよね。その他にもKpopアイドルの人気が影響し、これまで韓国に興味を持っていた人たちに加え、コロナ禍によるお家時間の増加により、そこまで韓国に興味がなかった新規層が韓国コスメに興味をもったと言われています。
もちろん、SNSの拡散による影響も大きいです。日本における韓国コスメの購入層は、「20代前半まで」と、「55歳以上」がメインと言われています。「20代前半」までの層は、SNSが中心で韓国ドラマやKpopの人気が後押ししています。
逆にSNSになじみが少なそうな「55歳以上」の層はというと、「冬のソナタ」などで話題となった第一次韓流ブームの世代になります。そのときから韓国に興味をもっていた層に人気が再燃してきているということのようです。もちろん他の世代にも幅広く受け入れられる韓国コスメ。第2次、3次の韓流ブームや、これまでの韓国コスメの低価格なのに高品質というイメージが定着していたところに、韓国のエンタメ人気が後押しすることで、韓国ファンの厚みが増していることが非常に興味深いです。
韓国メンズコスメ
また、メンズコスメ市場も韓流ブームが盛り上げています。やはり、Kpopアイドルや韓流スターの肌の白さ、きめ細かさに加え、メンズメイクをしたかっこいい姿が人気を集めていることも影響しています。
日本でもテレワークが普及し、Web会議で自分の顔を見る機会が増えたことや、おうち時間の増加もあり、男性の美意識がアップしていることも1つの要因です。
韓国コスメを支える背景
このように韓国コスメが急成長している背景としてあげられるのは、なんと言っても国からの政策的サポートがあることです。ここが、日本との大きな違いです。
これには、韓国の成長産業だった半導体業界の不振が続き、2019年7月から始まった日本の輸出管理強化が追い打ちをかけ、韓国メーカーが日本の企業に頼っている半導体部品に日本政府がターゲットを絞ったとされています。そこで文在寅(ムン・ジェイン)政権は、2019年11月から半導体に代わる成長産業として、Kビューティーの本格的な育成に乗り出しています。したがって、韓国では国をあげて化粧品のスタートアップをバックアップする環境があります。
韓国の化粧品OEM企業は2012年ごろから化粧品関連工場が急激に増加しています。現在では2500ほどが稼働し国内のみならず世界中からのOEMを請け負っています。そして、韓国の化粧品工場は、ユニークな化粧品開発が活発です。BBクリームや、クッションファンデーション、ティントリップなどは韓国発の商品ですが、今では世界的トレンドになっているものもあります。
こういった「独自の発想力」に加え、韓国ではオープンイノベーションの形で、技術を横展開していることも特徴的です。例えばクッションファンデーションは2010年に「アイオペ」という韓国コスメブランドが初めて発売しました。アイオペはアジアで第三位の規模であるアモーレパシフィックがプロデュースしていますが、通常は特許にして囲い込んでしまってもよい技術を、あえてオープンにしているということです。
そして、韓国はOEMメーカーの横のつながりが強く、クッションファンデーションの評判の良さが伝わり技術革新が進み、一気に広まったとのことです。現在では世界中の主なメーカーで発売されているが、韓国OEMに製造を発注しているメーカーも多く、技術をオープンにしたことで結果的に韓国のコスメ業界が潤うという状況になっています。また他国メーカーがクッションファンデーションを発売し良さを謳うことで、結果的に韓国コスメへの興味喚起や地位確立にもつながっています。こういった特徴的な背景がプラスに働き、韓国コスメの人気を底上げしていることに、本当に関心させられます。
今後の化粧品市場に必要なこと
ここまで書いてきた韓国コスメ成長の要因を踏まえ、今後の日本の化粧品市場はどうしていくべきか、私なりに考えてみました。
まず、これまで何度か訪れた韓流ブームによって、潜在的に韓国への関心や韓国コスメへの信頼感をもっていた人たちが、今回の第4次韓流ブームをきっかけにその興味が顕在化した、ということがあげられると思います。これって、日本でも十分真似できる流れなのではないかと、、、、。そもそも日本の商品というのは、高品質で信頼できるということが一番の売りです。これは、世界中の人がMade in Jpan について潜在的にもっているイメージだと思います。このイメージができあがっているのではあれば、あとは、なにかをきっかけに顕在化させればいいだけです。日本を思い出させ、やっぱり日本のものは良いよね。使いたいよね。って思ってもらう。
これを国をあげてはやってくれないのが日本です。が、やはり、日本で有名なエンタメといえば、アニメ。例えば、アニメ×Japan beauty でなにかブームがおこせないものでしょうか?できそうな気はしますよね。このお話は世界に向けた日本の化粧品の話でした。
国内市場についてはどうでしょうか?すでに飽和状態ではあります。そして、日本人の特徴として慎重派であることが、愛用の化粧品をなかなか変えないということもあります。しかし、それを逆手にとって、「失敗したくない」からこそ、自分にあった化粧品選びの解像度を上げることができれば、非常に満足度は向上すると思います。それにはやはり、SNSの力は依然として必要にはなると思います。
逆手にとるついでになりますが、日本の化粧品が厳しいなら、韓国コスメをもっとひっぱってくるのもありだと思います。実際、日本向けに開発された韓国化粧品は現状では少ないです。これを日本向けにローカライズして、日本人の好みや肌質にあわせつつも、韓国コスメの品質と低価格が維持できればかなり満足度はあがるのではないでしょうか?
マーケティングは、私自身勉強中ですが、韓国の方法から学ぶことは、やはり「わかりやすさ」一択だと思います。韓国のエンタメを見ても思うのですが、複雑なものは少なく、誰にでもわかりやすいコンテンツで勝負しています。なので、いろいろと奇をてらいたくなるのはやまやまですが、消費者の心理によりそって、ぜひ、わかりやすいコンテンツや商品を世に生み出していきたいと思う今日このごろです。